Azalove item book2

「アザラシ、足りてますか?」そんな呼びかけに思わず頷いちゃう人に刺さるのが、木村悦子さんの『アザラシBOOK』(グラフィック社)です。水族館でころんと寝そべる癒し担当の姿から野生でたくましく生きる野生動物としての顔まで、かわいさを浴びながらしっかり深掘りできる一冊です。写真と取材の両方で、アザラシの魅力を「かわいいのその先」へ連れていってくれます。

見る→知る→もっと好きになる。写真と取材で推しが増える一冊

本書の大きな推しポイントは写真の濃さ。飼育員さんだからこそ撮れる距離感のカットや水族館での日常のしぐさ、さらに春に生まれた赤ちゃんの姿など、なかなか見られない瞬間がたっぷり収録されています。眺めているだけで心が満たされるのに「あ、こういう体のつくりだからこう動けるのか」「この表情ってこういう場面?」と、自然に知りたい気持ちが湧いてくる構成が気持ちいいです。

内容は4章立てで、1章はアザラシのひみつ(体のしくみや生態の面白さ)、2章は水族館のアザラシ名鑑、3章はアザラシな人々へのインタビュー、4章は海の仲間としてアザラシとともに生きる視点へと、かわいさから入って、視野がぐっと広がる流れ。研究者、獣医師、個体数調査に取り組む大学サークルなど、多彩な立場の人の話が入ることで「好き」がそのまま理解につながります。

さらに、近年話題のオランダの「アザラシ幼稚園(ピーテルブーレンアザラシセンター)」や、日本の「オホーツクとっかりセンター」といったトピックも扱われていて、いまのアザラシ界隈(?)の空気も追体験できるのが楽しいです。図鑑ほど硬くなく、写真集ほど眺めるだけでも終わらないアザラシ入門をもう一歩すすめたい人にちょうどいい温度感だと思います。

長年の夢を形に。アザラシ本に宿る熱量

著者の木村悦子さんは、出版社勤務を経て編集事務所「ミトシロ書房」を立ち上げ、動物園・水族館取材を重ねてきた編集者/ライター。『日本で会えるペンギン全12種パーフェクトBOOK』『ラッコBOOK』に続き、長年の夢だった“アザラシ本”を形にしたそうで、提供写真以外はご自身で撮りためた記録が中心というのも熱いです!ページをめくるたびに「アザラシが好きで好きで仕方ない人の目線」が伝わってきます。